だるま女の都市伝説

日本人の女性が、拉致され四肢切断され、麻薬漬けにされて見せ物にされる。そんな「都市伝説」が「だるま女伝説」である。


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実話ナックルズ2006年5月号より
記事アーカイブ(ZIP 3.0MB)

この、実話ナックルズの記事のように尾ひれ背ひれをつけて語り継がれている。

むろん、この記事にある「2年前に豪華客船が海賊に襲われた」という事実もなければ、ましてや「女性が連れ去れた事実」もない。2004年前後に10人もの女性が連れ去られれば世界的ニュースになるはずである。(あったらご連絡を...)

ともあれ、連れ去れたれた後はおきまりどおり、東南アジアで見せ物等に(この場合はオークション)される。

この記事の面白いところは「アラブ人は手足の根本から、アジア系は犬女仕様が好み」という情報が付加されて、この伝説に花を添えていることである。

 


 

 

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「伝染る都市伝説(宝島社)」に掲載された「作家・林巧氏」の考察によると、東南アジアでそんな見せ物があった事実は全くないそうである。

しかし、記事に寄れば、日本人の「東南アジア=得体の知れない危ない地帯」という観念が伝説の底に流れているという。同様に、九龍城、香港なども同じだという。

彼によるとこの伝説が語り継がれる一因として「日本人は見捨てられたがっており また、見捨てたがっている」とのことである。

なかなか面白い。こと集落という単位で集団差別を脈々とくりかえしてきた日本人のDNAかもしれない。

 


 

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オルレアンのうわさ/みすず書房

さて、話はかわるが「ブティックの試着室で女性が突然失踪し、アジアや香港で廃人となって再会する(=忽然と客の消えるブティック)」という都市伝説をご存じであろうか?

結果がだるま女になるかどうかとして、前述の失踪伝説は「オルレアンの噂」に胆を発しているという。

姿を消すブティックはすべて「ユダヤ人」の経営するブティックであった。ということろから、当時のユダヤ人に対するするフランスの人々の差別意識がうかがい知れておもしろい。

ともあれ、この伝説はこれを源流としていることをひっくりかえして否定する伝説など、つぎつぎと亜流が出てきて面白い。


 

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ジョニーは戦場に行った
(DVD:日本ヘラルド / 小説:角川文庫)

さらに、前述の林氏はこの「ブティックで人が消える」という伝説のおちが「だるま女」になるというのは、 1971年に公開された「ジョニーは戦場にいった」という映画が関係しているのではないかと考察している。

(不確定ではあるが、ネットで調べるとだるま状態になるのは日本特有の現象だと散見される)

この映画、戦場に行った青年が四肢切断し視覚聴覚・言語発声力まで失った状態におき、生の尊厳を人々に訴えかける内容である。

この「生の尊厳」の証明のために提示された「だるま状態」があまりにも強烈だったため、オルレアンの噂と結びついたというのである。

 

 


 

さて、僕なりの考察であるが、こういった伝説に見受けられるのは「闇にとりこまれたい 闇にとけこみたい」という人々の好奇心と「しかし、自分は安全でいたい あくまで観客になりたい」という心の働きのせめぎ合いがある。

「この話を5人にしないと死ぬ」というったような話は、この二つの心の働きを絶妙に利用する技巧を凝らしてある。

なんにせよ、「死」を思い恐怖する感覚は、人間のみが感じるあらがうことのない原初の感覚だろう。

それに、どこか「身体欠損」など、そういったものを好奇に思う人間の暗い内面が融合し、この伝説は闇の中でつやつやと光るのかもしれない。

 

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